誰にでも「今日は失敗してしまった・・」と感じる日はあります。
職場でのケアレスミス、人前で注意を受けた、些細な行き違い。
大きな問題でなくても、心に引っかかることがあると、
気分は簡単に沈んでいくものです。
そんなとき、
「早く気持ちを切り替えなくては」
「いつまでも落ち込んではいけない」
と、私たちは、自分を励まし、奮い立たせようとしてしまいがちです。
けれど、実際には、頭でわかっていても気持ちが追いつかず、
同じことを何度も思い返してしまう・・
そんな経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
大切なのは、落ち込まないようにすることではなく、
落ち込みに長く巻き込まれすぎないようにすることなんです。
気持ちを上手に切り替える力は、心の健康を守るだけでなく、
仕事や日常生活を穏やかに続けていくための土台になります。
この記事では、心理学の考え方をベースにしながら、
無理なくできる「気持ちの切り替え方」をご紹介します。
全部を完璧に実践しようとしなくても大丈夫です。
「これならできそう」と感じるものを、ひとつだけ選んでみてくださいね。
気持ちの切り替え方5選
①落ち込む気持ちを、そのまま受け止める
気持ちを切り替えようとするとき、大切なのは、
「落ち込んでいる自分を否定しないこと」です。
私たちは、失敗すると
「こんなことで落ち込んではダメだ」
「気にしすぎだ」
と、自分の感情を押し込めようとしがちです。
けれど、心理学では、感情を無理に抑え込むほど、
かえってその感情が強く残りやすいことが知られています。
これを「感情抑制」と呼びます。
認知行動療法(CBT)やマインドフルネスでも、基本になるのは、
「今こう感じていると気づくこと」なのです。
これは、感情を受け止めることで、心がこれ以上強く反応しなくてよくなるためです。
落ち込むのは、真面目に向き合っている証拠でもあります。
失敗しても何も感じない方は、少数だと思います。
「そういう日もある」
「今日は少し疲れているだけかも知れない」
そんなふうに、自分に声をかけてあげてください。
気持ちを切り替える第一歩は、立ち直ろうとすることではなく、
立ち止まることから始まります。
②環境を変えてリフレッシュする
〜行動が心の重さをそっと動かす〜
気分が落ち込んでいるとき、私たちは、
「気分がよくなるまで待つ」
という考えになってしまいがちです。
けれど、実際には、心が重いままで前向きな気持ちをつくることは、
なかなか難しいものです。
心理学では、行動活性化という考え方があります。
これは、気分の変化を待つのではなく、先に行動や環境を変えることで、
心が動き出すきっかけをつくるという方法です。
ここでいう「行動」とは、何か特別なことを頑張るという意味ではありません。
例えば、
・席を立って窓の近くへ行って外を眺める
・外の空気を吸いにいく
・好きな飲みのもをゆっくり味わう
こうした小さな行動で十分です。
私たちの心は、頭の考えだけで成り立っているわけではく、
身体や感覚とつながって動いているため、こうした変化が、
心の重さにも影響を与えるのです。
大切なのは、「気分を変えなきゃ」と無理をしないこと。
ほんの数分、自分の身体の感覚に意識を向けるだけで構いません。
今いる場所や姿勢を変えて、心に「動いてもいいよ」と合図を送ってあげること。
それだけでも、心はゆっくりと動き始めます。
③小さな達成感を積み重ねる
〜「できた」という感覚が、心を支える〜
気持ちが落ち込んでいるとき、つい、
「自分は何もできていない」
「ちゃんとできていない」
と自分を責めるような思いが浮かびやすくなります。
この状態が続くと、行動する前に自信を失い、ますます動きづらくなってしまいます。
心理学では、「自己効力感」という考え方があります。
これは、
「自分にはできるかも知れない」
「やればできそうだ」
と感じられる感覚のことです。
ここで、大切なのは自己効力感は、「大きな成功」から生まれるものではない、
という点です。
例えば、
・今日は時間どおりに起床できた
・洗い物を片づけた
・コーヒーを丁寧に淹れた
こうした、人から見れば取るに足らないような行動でも、
「終えた」「できた」という感覚は、確かに心の中に残ります。
落ち込んでいるときは、高い目標を立てる必要はありません。
むしろ、確実に終えられる「小さな目標」を選ぶ方が、
心にはやさしいのです。
一つ終える、また一つ終える。
その積み重ねが「自分はできていない」という思い込みを、
少しずつ緩めていきます。
気分が沈んでいるときは、「できなかった」ことよりも、
「できた」ことに目を向けるように意識してみてください。
どんなに小さなことでも、それは立派な前進です。
焦らなくて大丈夫です。一歩ずつで十分ですよ。
④言葉にして気持ちを整理する
〜気持ちは「外に出す」と落ち着きやすい〜
落ち込んだ出来事があると、同じ場面や言葉が、何度も頭の中で繰り返され、
考えても堂々巡りになってしまうことも少なくありません。
心理学では、感情を言葉にすることが、心を落ち着かせる助けになると考えられています。
そうすることで、感情を「抱え込む」状態から、
「少し距離をとって眺める」状態へ移していくというものです。
例えば、ノートやメモに、
「悔しかった」
「情けなかった」
「本当は悲しかった」
そんな短い言葉だけでも構いません。
気持ちに名前をつけることで、頭の中の混乱が、少しずつ整理されていきます。
また、信頼できる人に話を聞いてもらうもの、一つの方法です。
アドバイスをもらう必要はなく、「そうだったんだね」と受け止めてもらうだけで、
自分の気持ちが落ち着いていくことがあります。
気持ちを言葉にすることは、弱さではないのです。
心を整えるための大切な作業なのです。
視点を変えて考えてみる
〜失敗を「意味づけ直す」〜
落ち込んだとき、私たちは無意識のうちに、
出来事を厳しい見方で捉えてしまいがちです。
「評価が下がった」
「自分はダメかも」
そんな考えが浮かぶと、気持ちはさらに重くなってしまいます。
心理学では、出来事そのものよりも、
**「それをどう捉えたか」(意味づけ)**が感情に影響すると考えられています。
例えば、失敗を「自分の評価が下がった」と捉えると苦しくなりますが、
「次に気をつけるポイントが見えた」
「経験がひとつ増えた」
と捉え直すことができれば、同じ出来事でも、心の負担は変わってきます。
もちろん、無理に前向きに考える必要はありません。
ただ、「他の見方はできないだろうか」と、
そっと問いかけてみるだけで十分です。
視点を変えることは、失敗を無かったことにするのではなく、
自分を守りながら、意味を整え直すこと。
それができるようになると、落ち込みから立ち直る力は、少しずつ育っていきます。
まとめ
落ち込む日は、誰にでもあります。
大切なのは、その感情を否定したり、無理に消そうとしないことです。
今回ご紹介したのは、
・落ち込んでいる自分を認める
・環境や行動を少し変えてみる
・小さな達成感を積み重ねる
・気持ちを言葉にして整理する
・視点を変えて、意味を考え直す
という、心を立て直すための5つのヒントです。
すべてを一度にやる必要はありません。
今の自分にできそうなことをひとつだけ選んでみてください。
落ち込むことは、弱さではなく、それだけ日々を一生懸命生きている証です。
もし今、気持ちが沈んでいるなら、
どうか自分を責めすぎないでください。
心は、ゆっくり整えていけば大丈夫なのです。
あなたの明日が、今日よりも少しでも穏やかになりますように🌿
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