リフレーミングとは?|心理学に学ぶ、発想の転換で心を穏やかに保つ方法

心理学用語解説

「同じ出来事でも人によって受け取り方が違うんだな」

という経験をしたことはありませんか?

その「受け取り方の違い」に注目した心理学の考え方が

リフレーミング(Reframing)」です。

リフレーミングとは、出来事そのものは変えずに、

意味づけや見方(フレーム)を変えることで、感情や行動を変えていく方法を指します。

心のつらさを無理に否定したり、前向きに考えようと自分を追い込むのではなく、

別の枠から眺め直すという、非常に穏やかで現実的なアプローチ方法なのです。

リフレーミングの理論的背景と提唱者

リフレーミングは、主に認知心理学認知行動療法(CBT)の分野で発展してきました。

その基盤には、

人は出来事そのものではなく、出来事をどう解釈したかによって感情が生まれる

という考え方があります。

この考えを体系化した代表的な人物が、

アメリカの精神科医であり、認知療法(CBT)の創始者である

アーロン・T・ベックです。

彼は、うつや不安を引き起こす原因として、

現実の出来事よりも「自動思考(瞬間的に浮かぶ考え)」に注目しました。

また、同じくアメリカの精神科医アルバート・エリスの論理情動行動療法(REBT)でも、

「A(出来事)→B(信念・解釈)→C(感情・行動)」というモデルが示され、

感情の苦しさはBの部分で、出来事の解釈によって左右されることが説明されています。

リフレーミングは、こうした理論を日常レベルで使いやすくした実践的な手法なのです。

リフレーミングが役立つ場面

①自分を責めてしまうとき

失敗したとき、注意されたとき、思うように動けなかったとき。

私たちは無意識のうちに、

「自分はダメだ」「また同じことをした」

という厳しい枠で自分を評価してしまいがちです。

そこでリフレーミングを使うと、

• 失敗 → 試行錯誤の途中

• 動けなかった → 慎重に考えていた

• 落ち込む → それだけ真剣だった

というように、自分を追い詰めない解釈ができるようになります。

これは問題のすり替えや自分を甘やかすということではなく、

事実をより立体的に見る行為なのです。

②人間関係のストレス

人間関係の悩みは、出来事そのものよりも「どう受け取ったか」で苦しさが増幅します。

例えば、

• 冷たい人 → 距離感を大切にする人

• 口うるさい人 → 責任感が強い人

• 無口な人 → 内省的な人

と、視点や言葉を置き換えてみると印象が変わりますよね。

こうした見方は、相手を美化するためではなく、

「その枠だけで決めなくてもいい」という、心の余白をつくることが目的なのです。

③変えられない現実に直面したとき

年齢、環境、家庭の事情、体調など、

努力だけでは変えにくい現実に直面したとき、人は無力感を抱きやすくなります。

リフレーミングは、

「変えられないものを変えようとする」のではなく、

その意味づけを見直すことで、心の消耗を減らします。

• 一人の時間が多い → 自分を整える時間がある

• 思うように進めない → 立ち止まる必要があるサインかも

このように、現実を否定せず、苦しさを軽くする知恵として活用できます。

伝え方としてのリフレーミング― 知的でやわらかいコミュニケーション術

リフレーミングは、自分の心を整えるだけでなく、

人に何かを伝えるときにも非常に有効です。

意見の違いがある場面や、相手に気づきを促したいとき、

つい、私たちは「正しさ」を前面に出してしまいがちです。

でも、言われた相手は「否定された」と感じた瞬間に心を閉ざしてしまい、

内容よりも「言われ方」に反応してしまいます。

リフレーミングを用いた伝え方では、

相手の行動や考えをいきなり否定するのではなく、

意味づけの幅をそっと広げることを大切にします。

例えば、

*「それは、間違っている」ではなく

→「そういう考え方もありますが、別の見方もあるかも知れません」

*「なぜできないの」ではなく

→「慎重に考えていたのですね」

このように、相手の枠組みを壊すのではなく、

ひとまわり大きな枠に置き換えるように、言葉に幅を持たせることで、

対話は「対立」ではなく、「共有」へ変わっていきます。

この姿勢は、心理学では心理的安全性とも深く関わっています。

「否定されない」「理解しようとしてもらえている」と感じたとき、

はじめて自分の考えを見直す余裕を持てるのです。

リフレーミングを使った伝え方は、相手の尊厳を守りながら、

自分の意見を伝えるための気配りとも言えます。

知的さとやさしさを同時に保つ、成熟したコミュニケーションの形です。

まとめ― 枠を変えると、心の居場所が増える

リフレーミングは、前向きになるための技術ではありません。

つらさを消すための技術でもありません。

ただ、「今の見方だけがすべてではないかもしれない」

そう気づくことで、あなたの心の中にも新しい余白が生まれるかも知れません。

上手く言葉が出なかった日、

誰かの言葉が心に引っかかったとき、

この「リフレーミング」を思い出してもらえたらと思います。

どうか、あなたの心が広い景色を見渡せますように🌿

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