「もう無理かもしれない…」
そう感じているのに、なぜか別れの決断ができない。
頭ではわかっているのに心が追いつかない。そんな経験はありませんか?
恋愛は、喜びや安心をくれる一方で、悩みや葛藤も大き苦なります。
その葛藤の裏側には “サンクコスト(埋没費用)” とよばれる心理が
静かに働いていることがあります。
サンクコストとは、過去に費やした 時間・気持ち・努力・お金 のこと。
もう取り戻せないため、本来は未来を考える上で判断材料にはすべきではないのですが・・
恋愛では、この「サンクコスト」が知らないうちに心を縛り、
冷静な判断を難しくしてしまいます。
今回は、恋愛におけるサンクコストの働きと、別れられない心理のメカニズム、
そして「続ける」「手放す」を考えるときの判断軸について考えていきましょう。
サンクコストとは?
サンクコスト(Sunk Cost)とは、経済学の言葉で
すでに支払ってしまい、戻らないコストのこと です。
“埋没費用” とも呼ばれ、例としてはこんなものがあります。
• これまでに使ったお金
• 費やした時間
• かけた労力
• 感情やエネルギー
• 我慢してきたこと
経済学では、
「サンクコストをもとにこれからの行動を決めてはいけない」
というのが大原則です。
なぜなら、すでに失われたコストを回収しようと行動を続けても、
損失がさらに大きくなる可能性があるからです。
恋愛においては、この理屈がとても難しく感じられてしまうのです。
恋愛で起こりやすいサンクコスト効果
恋愛には時間や感情が深く関わるため、サンクコストは非常に強く働いてしまいます。
たとえば…
• 何年も付き合ってきた
• 相手を支えた
• 抑えてきた感情がある
• たくさん話し合った
• 期待して何度も努力した
こうした積み重ねは、本来は「もう戻らないもの」なのですが、
その労力が大きければ大きいほど、
「今やめたら、今までの努力が無駄になる」という感覚を抱くようになります。
これが 恋愛のサンクコスト効果なのです。
過去へのこだわりが強くなるほど、
未来への選択が難しくなるという心理現象です。
なぜ、やめたいのに手放せないのか
恋愛のサンクコストが強く働く背景には、いくつかの心理があります。
1. 一貫性の法則
人は「自分の選んできた行動や判断は正しかった」と思いたいものです。
「ここまで付き合ったのだから、この関係は意味があるはず」
と考えることで心の安定を保とうとします。
2. 努力を回収したい心理
心理学では「努力の正当化」とよばれます。
努力が大きいほど、その関係にしがみつきやすくなってしまうのです。
3. 不確実性への不安
別れたあとの未来は不確実ですよね。
• ひとりになる怖さ
• また一から出会い直すしんどさ
• 次の相手が見つかるかわからない不安
こうした心理が、今の関係を継続させる方向に働くのです。
4. 自己価値とのつながり
恋愛の選択は、自分の価値にも影響するように感覚に。
「別れを選んだら、今までの選択が失敗だったみたいで苦しい」
そんな思いがあると、手放す決断がさらに難しくなってしまいます。
続けるか、手放すかを判断するための3つの軸
サンクコストに流されず判断するためには、次の3つの軸が役立ちます。
①過去ではなく “未来” を基準にする
過去にどれだけ投資したかではなく、
「この先の1年後の自分は、今より幸せか?」
という未来基準で考えることが大切です。
時間は取り戻せませんが、未来の選択は今日から変えられます。
②関係を育てる余地があるか
• 相手は話し合う姿勢があるか
• お互いに変わる意欲があるか
• 相手がこちらの気持ちを尊重するか
努力が一方通行の関係だと、未来が改善しにくくなりますよね。
③心の消耗度
いまの関係で、あなたの心がどれくらい疲れているか。
我慢や不安が大部分を占める関係なら、
サンクコストに引っ張られている可能性が高いかも知れません。
恋愛のサンクコストを “経済論” で考えると
先にも書きましたが、
経済学では、サンクコストは「意思決定に入れてはいけない要素」。
経済において合理的な判断をするには、
• 過去の支出
• 過去の労力
• 過去の感情投資
これらは完全に除外するべきだとされています。
例えるなら…
10万円払って買ったけれど、使いにくくて不便な家電。
「せっかく買ったんだから」と使い続ければ、
不便さという損失はずっと続きます。
恋愛も同じで、
どれだけ投資したかではなく、これから幸福が増えるかどうかが大事 なのです。
サンクコストから抜け出すためのやさしいステップ
サンクコストから抜け出すステップをまとめてみました。
焦らなくて大丈夫です。少しずつ心の整理をしてみてください。
Step1:過去の投資を「いったん横に置く」
まずは、過去の努力を自分で労いつつも、
「これはもう回収できないんだね(戻らないんだね)」
と認めるところからはじめます。
Step2:未来の自分をイメージする
いまの関係を続けた未来と、手放した未来。
心がどちらに軽さを感じるかを見てください。
このとき、過去から連続させずに、今の地点から、
明日、1週間後、1ヶ月後、半年後、1年後の2人の関係を想像してみてください。
Step3:あなたが大切にしたい価値を言葉にする
安心、尊重、誠実さ、穏やかさ…。
恋愛で大切にしたい価値は人によって違います。
その価値をいま一度考えてみてください。
Step4:相手と話し合う or 距離を置く
・言葉で伝えてみる
相手の気持ちを聞くことではなく、自分の気持ちを素直に伝えてみましょう。
・一時的に距離を取る
相手軸ではなく、自分軸の時間を作ってみましょう。
Step5:心の声を聞く
相手と距離を置いたとき、
・心の軽い
・苦しい
相手に対して、自分の抱いている本当の気持ちに気づいてあげてください。
まとめ
恋愛は感情が多くを占める世界なのです。
なので、合理的に判断するのはとても難しいです。
それでも、サンクコストがあなたの心を縛っていると気づいたとき、
未来は少しずつ変わりはじめるかも知れません。
過去ではなく これからの幸せを基準に選んでいい のです。
心が軽くなる方へ、安心できる方へ進んで大丈夫ですよ。
どうかあなたの心が安心で満たされますように🌿
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