「職場での信頼関係」崩した側 × 崩された側の心理学

仕事とメンタルケア

──関係が揺らいだとき、人はどんな心理になるのか?

職場の信頼関係は、思っている以上に脆いものです。

ちょっとした報連相の漏れ、期限の遅れ、言い方のすれ違い…。

気づいたときには「なんだか距離を感じる」「あの人の態度が冷たい」

と、関係が変わってしまうことは珍しくありません。

しかも、信頼が崩れた場面では、

崩した側と崩された側の心理がまったく違う方向に動くため、

お互いの行動がさらに不信を深めてしまうこともあります。

この記事では、認知的不協和、帰属理論、防衛機制、公正理論など、

心理学の視点から 「崩した側」「崩された側」それぞれの心理と、

信頼を回復するための行動」 を解説します。

1. 信頼関係は「予測できる行動」で保たれる

職場での信頼は、好き嫌いではなく

「この人は約束を守る」「行動に一貫性がある」

という“予測可能性”によって築かれます。

そのため一度でもその予測が裏切られると、

小さなミスでも大きな不安や不信につながります。

• 報告が遅れた

• 期限が守られなかった

• 言葉と行動が違った

• 相手の感情に配慮しない言動があった

こうした出来事は、信頼の土台を揺らす典型例です。

そして、問題が起きた瞬間に

崩した側/崩された側で、心理が真逆の方向へ動きます。

2. 【崩した側】まず動くのは「自己防衛」の心理

●認知的不協和:自分を守ろうとする心

人は基本的に「自分は正しい」「誠実だ」という自己イメージを持っています。

しかし信頼を壊してしまうと、そのイメージが揺らぎます。

そのとき生まれる不快感を心理学では認知的不協和 と呼びます。

この不快さを減らすため、崩した側は…

• そんなつもりじゃなかった(否認)

• 自分にも事情があった(合理化)

• 相手も悪い(投影)

といった防衛機制を使いがちです。

これは弱さでも悪さでもなく、

人間なら誰にでも起こる自然な心理です。

ただし、この心理が長引くと

「ごめん」の一言が言えなくなり、

信頼回復のチャンスを逃してしまいます。

💡認知不協和とは?
社会心理学者レオン・フェスティンガーが提唱した理論です。
自分の言動や気持ちが”矛盾している”状態の不快感のこと。
人はその不快感を減らそうとして、「自分は間違っていないという
考えに寄せていきます。
💡防衛機制とは?
精神分析学者ジークムント・フロイトが提唱した理論です。
心の中で生じる不快な感情や葛藤を無意識に和らげる心理的な仕組みとしています。
これは人間であれば誰でも起こる自然な心理反応だとしています。

崩した側が取るべき行動

言い訳を置いて“事実だけ”を振り返る

何が起こったのか、相手にどう影響したのか。

「意図」ではなく「結果」を見ることが大切です。

相手の感情を承認する

「困らせてしまったよね」「不安にさせたよね」など、

相手の立場からの言葉が信頼回復の入口です。

改善案を具体的に提示する

• いつまでに

• 何を

• どのように改善するか

を明確に伝えることで、相手は「この人は変わるかも」と感じます。

小さな信用を積み上げる

返事を早くする、期限より前に提出するなど、

“当たり前の行動”を続けることが最大の回復策です。

3. 【崩された側】動くのは「不安」と「予測不能」への恐れ

信頼を崩された側の心理で最も強いのは、

**「また同じことが起きるかもしれない」**という予期不安です。

この不安が強いと、相手の行動を

「わざとだ」「性格の問題だ」と捉えるようになります。

これは心理学でいう 帰属理論(内的帰属) です。

本当は状況要因があっても、

崩された側は“相手の本質が原因だ”と判断しやすいのです。

さらに、

「自分ばかり負担している」「自分だけ損をした」

と感じると、

公正理論により不公平感が強まり、一気に不信が深まります。

💡帰属理論とは
社会心理学者フリッツ・ハイダーの提唱した理論です。
人は誰かの行動の原因を「その人自身の性格」と「状況」の
どちらにあるかを無意識に判断するという理論です。
職場トラブルでは、”性格に原因がある”と思い込みやすく、誤解を深めます。
💡公正理論とは
産業心理学者ジョン・ステイシー・アダムスの提唱した理論です。
人は「自分の投入(努力・時間・スキル)」と「得られる結果(報酬・給与・感謝)の
バランスを他者と比べて”公平”だと感じたときに満足します。
逆に、「他の人に比べて自分だけが評価されていない」と”不公平”さを感じると、
努力を減らす、文句が増える、相手を信頼できなくなります。

崩された側が取るべき行動

境界線を引く(距離の調整)

相手の問題行動から自分を守るために、

距離や役割を少し整理することが大切です。

相手の“言葉より行動”を見る

謝罪の言葉より、具体的な改善の行動を重視しましょう。

業務上のリスクを減らす

• メールで記録を残す

• 納期や役割を明確化する

• 担当分を見える化する

など、業務フローを整えることは自分を守る手段です。

必要であれば第三者を介入させる

上司、チームリーダー、人事など、

職場には“調整役”を担える存在がいる場合は、相談してみましょう。

ひとりで抱え込まないことが大切です。

4. 信頼は「感情」ではなく「行動」で回復する

信頼は一度壊れると、

「完全に元に戻るのは難しい」と一般的には言われますが、

予測可能性・一貫性・誠実さが示されれば、

信頼は少しずつだが回復する可能性があるという報告もあります。

「信頼=相手」から好かれるかどうかではなく、

どれだけ相手のことを考えた行動を積み重ねられるかなのです。

• 丁寧な報連相

• 小さな約束を守る

• 言葉と行動を一致させる

• 感情ではなく事実で対話する

時間はかかりますが、これらが積み重なれば、

崩れた信頼でも「再構築」することが可能かも知れません。

5. まとめ

• 信頼関係が崩れると、崩した側・崩された側で心理が大きく異なる

• 崩した側は「言い訳したくなる心理(認知的不協和・防衛機制)」

• 崩された側は「不安・不公平感(帰属理論・公正理論)」

• 信頼回復の鍵は“言葉”ではなく“行動の一貫性”

• 境界線を引きながら、安心できる関係性へ少しずつ戻していくことが大切

崩れた信頼関係に向き合うことは勇気がいることですが、

相手の心理を理解し、適切な行動をとることで

職場での人間関係は必ず良い方向へ向かっていくと思います。

どうか、あなたの悩みが軽くなりますように🌿

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