長続きするカップルに共通する心理とは?ふたりの距離感の保ち方

恋愛とメンタルケア

付き合いが長くなるにつれて、「最近はすっかり落ち着いたけれど、このままで大丈夫なのかな」とふと思うことはありませんか。

ドキドキしていた頃とは違う穏やかな時間に、少し戸惑う方はとても多いものです。けれど心理学の研究を見ていくと、長く続いているふたりには、いくつかの共通する心理があることが見えてきます。

この記事では、長続きするカップルに共通する心理と、愛着スタイルの視点から見た「ふたりの距離感」の保ち方を、やさしく紹介します。

長続きするカップルに共通する「安心感」という土台

研究の多くは海外の夫婦やカップルを対象にしたものですが、日々のふたりの関わり方のヒントとして、3つの共通点を見ていきましょう。

①前向きなやりとりが、ふたりの土台になっている

アメリカの心理学者ゴットマンとレベンソンは、1992年に発表した研究で、73組の夫婦の話し合いの様子を観察し、約4年後の関係の状態を調べました。その結果、関係が安定して続いていたふたりは、意見が分かれる話し合いの場面でも、関心を向ける、笑い合うといった前向きなやりとりが、そうでないやりとりの約5倍あったと報告されています。

大切なのは、意見がぶつからないことではなく、違いがあるときにも土台に温かいやりとりがあることです。たとえば休日の予定で意見が分かれたときも、「それも楽しそうだね」と一度受け止めてから自分の希望を伝えるだけで、話し合いの雰囲気は変わります。ただし、5倍という数字はあくまで目安のひとつ。数えて気にしすぎなくて大丈夫ですよ。

②いい知らせを、一緒に喜んでくれる

シェリー・ゲイブルらは2004年、4つの研究を通して、うれしい出来事を誰かに話すことの影響を調べました。すると、パートナーがうれしい知らせに関心を持って前向きに受け止めてくれる関係ほど、親密さや日々の満足度が高いことがわかりました。

たとえば「資格の試験に受かったよ」と伝えたとき、「そうなんだ」で終わるより、「すごい!どんな気持ちだった?聞かせて」と一緒に喜んでもらえたほうが、ふたりの関係への満足感につながりやすくなります。大変なときに支え合うことはもちろん大切ですが、うれしいときの分かち合いも、ふたりの絆を育てているのですね。

③新しいことを、ふたりで楽しんでいる

アーサー・アロンらは2000年の研究で、アンケート調査と3つの実験を行いました。調査では、一緒に新しいことやワクワクすることをしているカップルほど満足度が高く、その背景には「関係に物足りなさを感じにくい」ことがありました。さらに実験では、ふたりで取り組む新鮮で少しドキドキする課題をわずか7分行っただけで、平凡な課題を行ったときより、関係の満足度が高まったと報告されています。いつもと違うお店で食事をする、行ったことのない街を歩く、一緒に新しい料理に挑戦する。そんな小さな「初めて」でも、ふたりの時間に新鮮さが生まれます。

また、アセベドとアロンが2009年に25の研究(約6,000人)をまとめて分析したところ、相手へのとらわれの強さを伴わない、ときめきのある愛情は、付き合いの長さにかかわらず満足度と強く結びついていました。一方で、相手を強く求めすぎる気持ちは、長い関係では満足度と結びつきにくいこともわかっています。

ですから、落ち着いてきたことを、愛情が薄れたサインだと決めつけなくても大丈夫です。

愛着スタイルで見る、ふたりの距離感

愛着スタイルは、ハザンとシェーバーが1987年に、ボウルビィの愛着理論を大人の恋愛に当てはめたことで広まりました。この研究では、安定した傾向の人は、恋愛を「幸せで、友情のようで、信頼できるもの」と表現する傾向がありました。

ここでは、3つの傾向を「タイプ」として決めつけるのではなく、誰にでもある傾向として紹介します。読みながら、「あ、これは自分に近いかも」「パートナーはこちらかも」と、気軽に思い浮かべてみてくださいね。どれが良い悪いということではなく、相手や場面によって強く出るものが変わることもあります。

それぞれの傾向の背景には、幼い頃からの人との関わりの経験があると考えられています。ボウルビィは、赤ちゃんが養育者との関わりを通して、「困ったときに助けてもらえるかな」「自分は受け止めてもらえる存在かな」という心の中の見通し(内的作業モデル)をつくると考えました。
エインズワースらの観察研究では、養育者の関わり方と子どもの愛着の様子との関連が報告されています。
ハザンとシェーバーの研究でも、大人の愛着スタイルと、幼い頃の親との関係の振り返りとの間に関連がみられました。
ただし、育ち方を振り返って誰かを責めるためのものではありません。気質や、その後の友人・恋人との経験も影響するため、あくまで背景のひとつとして受け止めてくださいね。

安心して近づける傾向

相手を信頼して、近づくことも少し離れることも自然に感じられる傾向です。不安になったときも「少し心配になっちゃった」と素直に伝えやすいのが特徴です。背景には、幼い頃に気持ちを受け止めてもらい、「困ったときは頼っていい」と感じられた経験の積み重ねがあると考えられています。そのため、人を信頼して心を開くことに、自然と抵抗が少ないのです。

つながりを確かめたい気持ちが強めの傾向

相手の反応や連絡の頻度が気になりやすく、言葉や一緒に過ごす時間でつながりを感じたい傾向です。大切な人の関わり方が日によって違い、「今日は大丈夫かな」と様子を見る経験が重なると、安心するために相手の反応を確かめたくなりやすいと考えられています。それだけ、相手を大切に想っているということでもあります。

ひとりの時間も大切にしたい気持ちが強めの傾向

親しくなるほど、自分のペースや静かな時間も守りたくなる傾向です。背景には、気持ちを自分で落ち着かせる場面が多く、「自分のことは自分で整えよう」と工夫してきた経験があると考えられています。つながりを大切に思っていないわけではなく、自分のペースを守ることで安心しているのです。

傾向の組み合わせで起きやすいすれ違い

たとえば、つながりを確かめたい気持ちが強めの人と、ひとりの時間を大切にしたい人が付き合うと、連絡の頻度や会う回数をめぐって行き違いが起きやすいかもしれません。
「返事が少ないと心配になる」側と、「毎日のやりとりが続くと自分の時間が足りなくなる気がする」側。
そこにあるのは愛情の大きさの差ではなく、安心を感じる方法の違いです。
そう知っているだけで、相手の行動を「愛情が足りないから」と受け取らずにすみます。

愛着の傾向は、ふたりの関係の中で変わっていく

ここまで読んで「自分はつながりを確かめたい気持ちが強めかも」と感じた方も、安心してください。

アリアガらは2018年の論文で、愛着の傾向は固定されたものではなく、親しい関係の中で変化しうると整理し、「愛着安全性強化モデル」を提案しています。このモデルでは、つながりを確かめたい気持ちは自分への自信が育つ場面で、ひとりの時間を大切にしたい気持ちは頼ったり頼られたりする心地よい体験を重ねる場面で、それぞれ和らぎやすいと考えられています。

安心できるやりとりを積み重ねるほど、心の中の「この人なら大丈夫」という感覚が育っていく。
いまの傾向は変わらない運命ではなく、ふたりで育てていけるものなのです。

ふたりの距離感を心地よく保つコツ

感謝を言葉にする

アルゴらは2010年、67組の同居カップルに2週間、毎日の出来事を記録してもらいました。その結果、感謝の気持ちを感じた日の翌日は、感じた側も伝えられた側も、ふたりのつながりや満足度が高まっていました。「いつもありがとう」に、「今日の〇〇、助かったよ」と具体的な一言を添えるのがおすすめです。

気持ちを「お願い」の形で伝える

つながりを確かめたいときは「今日は少し話したい気分なんだ。夜に電話できる?」、ひとりの時間がほしいときは「今日は一人で充電したいから、明日ゆっくり話そうね」と、相手に求めすぎず、自分の気持ちとして伝えると、安心感が育ちます。「どうして連絡くれないの?」よりも、ずっと相手に届きやすくなります。

距離感のルールをふたりで決める

連絡の頻度や会う回数に「正解」はありません。「忙しい日は一言だけ送るね」など、ふたりが心地よいルールを話し合っておくと、連絡が少ない日にも「大丈夫」と思えるようになり、ひとりの時間も気兼ねなく楽しめます。

まとめ

長続きするカップルに共通するのは、特別なことではなく、前向きなやりとり、うれしさの分かち合い、新しい体験という日々の小さな積み重ねでした。どれも、今日から少しずつ始められることばかりです。そして愛着スタイルは、ふたりの距離感を知るヒントであり、関係の中で育てていけるものです。

落ち着いた時間は、ふたりが築いてきた安心感の表れです。完璧を目指さなくて大丈夫。今日の「ありがとう」から、ゆっくり育てていきましょう。
あなたとパートナーの穏やかな時間を、心から応援しています🌿

【出典】

・Gottman, J. M., & Levenson, R. W. (1992). Marital processes predictive of later dissolution: Behavior, physiology, and health. Journal of Personality and Social Psychology, 63(2), 221–233. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/1403613/
・Gable, S. L., Reis, H. T., Impett, E. A., & Asher, E. R. (2004). What do you do when things go right? The intrapersonal and interpersonal benefits of sharing positive events. Journal of Personality and Social Psychology, 87(2), 228–245. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15301629/
・Aron, A., Norman, C. C., Aron, E. N., McKenna, C., & Heyman, R. (2000). Couples’ shared participation in novel and arousing activities and experienced relationship quality. Journal of Personality and Social Psychology, 78(2), 273–284. https://doi.org/10.1037//0022-3514.78.2.273
・Acevedo, B. P., & Aron, A. (2009). Does a long-term relationship kill romantic love? Review of General Psychology, 13(1), 59–65. https://doi.org/10.1037/a0014226
・Hazan, C., & Shaver, P. (1987). Romantic love conceptualized as an attachment process. Journal of Personality and Social Psychology, 52(3), 511–524.
・Bowlby, J. (1982). Attachment and loss: Vol. 1. Attachment (2nd ed.). Basic Books.
・Ainsworth, M. D. S., Blehar, M. C., Waters, E., & Wall, S. (1978). Patterns of attachment: A psychological study of the strange situation. Lawrence Erlbaum.
・Arriaga, X. B., Kumashiro, M., Simpson, J. A., & Overall, N. C. (2018). Revising working models across time: Relationship situations that enhance attachment security. Personality and Social Psychology Review, 22(1), 71–96. https://research.gold.ac.uk/id/eprint/20477
・Algoe, S. B., Gable, S. L., & Maisel, N. C. (2010). It’s the little things: Everyday gratitude as a booster shot for romantic relationships. Personal Relationships, 17(2), 217–233.https://doi.org/10.1111/j.1475-6811.2010.01273.x

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